2021.03.03
Japanese ice fish from Namie Town
『ゴジてれChu!』の第1・第3水曜日には、新潟と結ぶ「ばんえつ横断お国自慢!」というコーナーがあります。今回は「春を彩る風物詩」をテーマに、福島自慢のリポーターとして、浪江町(なみえまち)に行って今が旬の「シラウオ」を取材してまいりました。その取材&こぼれ話です(途中、美味しいお店に脱線します)。
今回は、福島に春を告げる魚の一つ「シラウオ」をご紹介! |
浪江町は太平洋に面した町です。一時は全町避難だったのですが、いまは帰還困難区域の所もあるものの、帰れる地域も増えました。B1グランプリで有名になった「なみえ焼そば」をご存じの方も多いでしょう。
浪江町の「請戸(うけど)漁港」。東日本大震災の津波から復活した。 |
海沿いの町ですので漁港もあります。そこに今揚がる旬の魚の一つが「シラウオ」です。
請戸漁港から望む。シラウオが揚がる港だ。 |
朝8時半に請戸漁港に行くと、既に漁を終えた皆さんが作業をしています。
皆さん、漁船の上で卓を囲んで大事な作業中…。 |
これは選別作業で、シラウオ以外のものを取り除いているのです。例えば海藻類やほかの魚介類の子ども等が混じっているそうで、それらを卓上に広げた殆どシラウオの山から、目で確認して1つ1つ取り除いていくのです。
するとその作業をしていた方の中の一人が、
「徳光さん、食べてみっかい?食べてみないと巧くリポートできないんでは?」
するとその作業をしていた方の中の一人が、
「徳光さん、食べてみっかい?食べてみないと巧くリポートできないんでは?」
漁船のそばでも同じ作業中。シラウオ以外の魚・海藻を丁寧に取り除いて、競りに出す。 |
と言って、特別に水揚げしたての生のシラウオを分けて下さったのです。これは貴重&折角のご厚意、早速頂きます。シラウオは細身は細身なんですが、細いながらも肉付きが好いんです。透明度が高いのは、新鮮さの証ですね。
「食べてみっかい?」と分けて頂いた、生のシラウオ。透き通っている。 |
贅沢に一つまみを口に運ぶと…おおっ、つるっ!ぷりっ!とした食感。ほのかな甘みがある上、最後に少しばかり苦みが残ります。この苦みこそが、いわば大人の味でしょうか。
潮風を浴びながら試食。口に残る苦みは、日本酒に合いそうだ。 |
因みにこのケース1つで20キロほどあるそうです。こちらの漁船ではこの日、約300キロ獲れたと言います。
ほかにも釜揚げ、かき揚げ、お吸い物等の食べ方があるのですが、それは午後にロケの約束をしてあるとディレクターが言うので、その間に競りの様子を2階から取材。
ほかにも釜揚げ、かき揚げ、お吸い物等の食べ方があるのですが、それは午後にロケの約束をしてあるとディレクターが言うので、その間に競りの様子を2階から取材。
1ケースが約20キロ分のシラウオ。 |
この日はシラウオだけなので、一角だけで競りが行われていました。この日揚がったのは約1トンだそうです。
広い市場で、この日はシラウオだけの競りが行われた。 |
午後の取材前に、撮影スタッフと腹ごしらえです。
昼食は、同じ浪江町にある「西内食堂」へ行きました。以前「ふくしまイケ麺探し」のコーナーで紹介した店で、その時取材したのが、今回のディレクターだったのです。自ら取材・放送して味の分かっている店ですから、連れていかれる我々は安心して任せられます。因みにその時のリポーターが…
昼食は、同じ浪江町にある「西内食堂」へ行きました。以前「ふくしまイケ麺探し」のコーナーで紹介した店で、その時取材したのが、今回のディレクターだったのです。自ら取材・放送して味の分かっている店ですから、連れていかれる我々は安心して任せられます。因みにその時のリポーターが…
西内食堂。昼時になると、外で空き待ちの列も出来る。 |
石井アナでした。
記念写真が、一般のお客さんの写真に交じって店内に飾ってありました(良かったら、待ち受けにどうぞ)。
記念写真が、一般のお客さんの写真に交じって店内に飾ってありました(良かったら、待ち受けにどうぞ)。
「ふくしまイケ麺探し」のコーナーで取材した時の石井アナ。普通の客っぽい。 |
私はうどんの味をしっかり味わいたかったので、「きつねうどん」に(大盛サービスなのですが、このあと食リポを控えていたので、泣く泣く普通盛りに)。ほかのスタッフはけんちんうどんにカレーうどん、野菜のかき揚げうどんとそれぞれの好みのうどんを注文です。今回は私の頼んだきつねうどんをご紹介しましょう。
まずはつゆから。…う~ん(^^♪、味自体は濃くありませんが、出汁がしっかりきいています。
まずはつゆから。…う~ん(^^♪、味自体は濃くありませんが、出汁がしっかりきいています。
こちら「きつねうどん」(580円・税込み)。この日は私を最後に、きつねが品切れになった。 |
うどんが太い!…こしがあって、小麦の味もちゃんとします。
太いうどん。食べ応えあり。 |
そして自家製のお揚げ。……これは美味い!甘辛い味が煮含められていて、つゆと対照的なインパクトを残します。
このお揚げが美味しい。ごはんも欲しくなる味。 |
そして食べている内に気付いたのですが、花かつお、ねぎ、お揚げとエリアが分かれているのですが、これを分けたままにして、れんげでそれぞれの近くで掬ってつゆを飲むと、それぞれカツオだし、ねぎの香りと甘み、お揚げの甘さといった味わいが加わり、味変が楽しめます。勿論全部混ぜ混ぜする美味しさもあるのでしょうが、個人的にはこのエリア分けを残しながらの“三角食べ”ならぬ“三角飲み”がお勧めです。
つゆは塩分控えめ、旨味濃いめ。三角飲みがお勧め。 |
そばやうどんを食べる時、後半いつもは辛さと香りが好きで七味唐辛子をばんばん入れるのですが、今回はすっかり入れるのを忘れる位、味わう事に没頭してしまいました。これで税込み580円は納得です。
いや~、食べた食べた(^-^) |
最後に石井アナの立っていた位置で写真を撮れば、思い出作りの完成です(石井アナが「2」だったので、私は「1」にしてみました)。
浪江町民は焼きそばにしてもうどんにしても、太いのが好きなのか? |
いよいよ後半です。←こっちが仕事
今回取材したシラウオの加工品を作っているのが、明治29(1896)年創業の魚匠鈴栄(すずえい)。東日本大震災で加工場が全壊したため、いまは宮城県で製造しています。戦時中には釜揚げにしたものを干して東京に出荷していて、東京では高値で取引されたそうです。
今回取材したシラウオの加工品を作っているのが、明治29(1896)年創業の魚匠鈴栄(すずえい)。東日本大震災で加工場が全壊したため、いまは宮城県で製造しています。戦時中には釜揚げにしたものを干して東京に出荷していて、東京では高値で取引されたそうです。
魚匠鈴栄のシラウオ加工品の数々。 |
まずはその釜揚げを天日で干したものから。
熱を加えると、食感がふっくらに変わり、甘みが強くなります。苦みが殆ど感じられなくなるので、生が苦手な人でも食べやすくなります。
「塩をちょっとかけても美味しいですよ。うちの塩は海水から作った塩なので、旨味も増します。」
というのは、製造を手掛ける鈴栄の方(塩を持って来て下さいました)。海水塩をかけると、旨味も風味も増しますね。
熱を加えると、食感がふっくらに変わり、甘みが強くなります。苦みが殆ど感じられなくなるので、生が苦手な人でも食べやすくなります。
「塩をちょっとかけても美味しいですよ。うちの塩は海水から作った塩なので、旨味も増します。」
というのは、製造を手掛ける鈴栄の方(塩を持って来て下さいました)。海水塩をかけると、旨味も風味も増しますね。
柔らか干し。ミネラル塩と合わせても、美味しい。 |
「こちらは、お正月とかお祝いの時に出す事が多いですね。地元でも値段の高い魚ですから。」
シラウオのお吸い物です。浪江町の郷土食だそうで、中にはねぎと絹ごし豆腐のみを入れ、塩と醤油で味を調えます。
シラウオからの旨味・出汁が汁にたっぷり出て来ます。シラウオの持っているポテンシャル・持ち味がこれでもかと分かるのは、もしかするとこのお吸い物が一番かも知れません。しかも敢えて豆腐と言う淡白な味わいのものを具に使う事で、シラウオの強い旨味が更に引き立ちます。
シラウオのお吸い物です。浪江町の郷土食だそうで、中にはねぎと絹ごし豆腐のみを入れ、塩と醤油で味を調えます。
シラウオからの旨味・出汁が汁にたっぷり出て来ます。シラウオの持っているポテンシャル・持ち味がこれでもかと分かるのは、もしかするとこのお吸い物が一番かも知れません。しかも敢えて豆腐と言う淡白な味わいのものを具に使う事で、シラウオの強い旨味が更に引き立ちます。
郷土食の「お吸い物」。シラウオの旨味の強さがよく分かる。 |
そして放送からはこぼれてしまったのですが、まだまだシラウオの楽しみ方がありますよ。
こちらは、かき揚げ。
「ねぎを入れてシンプルに揚げるんです。ねぎが入ると甘みが増すんですよ。」
確かに甘みも増し、香りも加わります。揚げたては外がかりっ、中がふわっ。しかも旨味を衣が逃がさないので、衣が割れた瞬間にシラウオの旨味が口の中に広がります。
こちらは、かき揚げ。
「ねぎを入れてシンプルに揚げるんです。ねぎが入ると甘みが増すんですよ。」
確かに甘みも増し、香りも加わります。揚げたては外がかりっ、中がふわっ。しかも旨味を衣が逃がさないので、衣が割れた瞬間にシラウオの旨味が口の中に広がります。
かき揚げは、シラウオの持つ甘みをしっかり味わえる。 |
「基本、シラウオとねぎはワンセット、最高の組み合わせです。ねぎが入るだけでシラウオの甘みが強くなるんです。シラウオ料理の際は、ねぎは必ず使います。」
との事。確かに今回ご紹介頂いた料理は、全てねぎを使っています。
との事。確かに今回ご紹介頂いた料理は、全てねぎを使っています。
シラウオは、調理の仕方で味わいが変わってくる。 |
更に写真左は、釜揚げしたものを干して乾燥させたちりめん。こちらは、干した分旨味凝縮、噛めば噛むほど味が出て来る感じです。
「どちらかというと、小さいシラウオはちりめんにしますね。」
写真右はシラウオの「佃煮」です。
「実は正直、採算が合わないんです。」
と話す佃煮は、シラウオの旨味そのままに、優しい甘辛さが後をひきます。渋いお茶が合いそうな味です。佃煮が合うとは…という意味で、私が今回頂いたシラウオの食べ方で一番印象に残ったのが佃煮です。
「どちらかというと、小さいシラウオはちりめんにしますね。」
写真右はシラウオの「佃煮」です。
「実は正直、採算が合わないんです。」
と話す佃煮は、シラウオの旨味そのままに、優しい甘辛さが後をひきます。渋いお茶が合いそうな味です。佃煮が合うとは…という意味で、私が今回頂いたシラウオの食べ方で一番印象に残ったのが佃煮です。
シラウオのちりめん(左)・柔らか干し(中央)・佃煮(右)・生(右手前) |
「シラウオは、福島県でもここ浪江町や、ここより北の相馬等に多く揚がります。揚がらない地域の方はシラウオの味を知らない方も多いので、是非これを機にシラウオを食べてみて欲しいですね。」
と鈴栄の方は話していました。青森から和歌山の太平洋沿岸に生息する魚だけに、特に日本海側の新潟の方は、実際に食べた事が無い方もいらっしゃるでしょう…なんて話をしたら、
「新潟はお酒が美味しいでしょ?浪江も美味しい地酒があるので、シラウオと一緒に出すとどちらも止まらなくなるんですよ。」
との事。新潟の皆さんも、美味しい地酒とともに食してみては如何でしょう?
と鈴栄の方は話していました。青森から和歌山の太平洋沿岸に生息する魚だけに、特に日本海側の新潟の方は、実際に食べた事が無い方もいらっしゃるでしょう…なんて話をしたら、
「新潟はお酒が美味しいでしょ?浪江も美味しい地酒があるので、シラウオと一緒に出すとどちらも止まらなくなるんですよ。」
との事。新潟の皆さんも、美味しい地酒とともに食してみては如何でしょう?
「道の駅なみえ」でも、手に入れる事が出来る。 |
取材・放送時点での価格は、生シラウオ(200g・要予約)1080円~、釜揚げの柔らか干し(100g・半生冷凍)734円、ちりめん(60g)480円、佃煮(80g)581円です。取材・放送時点と書いたのは、
「値段は時価なんです。その時々で値段は変わります。」
との事でしたので、購入したい方は問い合わせて確認をしてください。
お取り寄せは、柔らか干しのみインターネット(「魚匠 鈴栄」で検索)でも可能です。
柔らか干しを含め、商品全般は電話注文が可能です。以下のところに問い合わせてください。
鈴栄商店 (0244)32-1186
「値段は時価なんです。その時々で値段は変わります。」
との事でしたので、購入したい方は問い合わせて確認をしてください。
お取り寄せは、柔らか干しのみインターネット(「魚匠 鈴栄」で検索)でも可能です。
柔らか干しを含め、商品全般は電話注文が可能です。以下のところに問い合わせてください。
鈴栄商店 (0244)32-1186
売り場はこんな感じ。他にも魚の加工品がずらりと並ぶ。 |
またこれらの商品は、「道の駅なみえ」でも購入する事が出来ます(水揚げ等によって、一部商品が無い場合もあります)。入って奥の一角、比較的レジに近い所に並んでいます。また道の駅ではご当地名物「なみえ焼そば」や「しらす」等も人気だそうです。県内の名産品も並んでいますので、立ち寄ってみてはいかがでしょう。
花粉症の私は先月から鼻で春を感じていましたが、舌で感じる春は嬉し楽しいものです。太平洋の幸、シラウオの話題でした。
花粉症の私は先月から鼻で春を感じていましたが、舌で感じる春は嬉し楽しいものです。太平洋の幸、シラウオの話題でした。
「道の駅なみえ」では、浪江や県内の名産品を買い求められる。 |
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