アナウンスルーム

アナウンサーブログ

徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
My Broken Mariko
 漫画『マイ・ブロークン・マリコ』に初めて出会ったのは、今から2年前。たまたま話題になっている凄い作品があるというので、書店で買って読んだ。ものすごい作品に出会った。普通のコミック単行本の1冊分未満の分量なのだが(もう1つ別のストーリーも掲載されて1冊になっている)、とにかく絵力も話力も圧倒的で、内容が重くて、でも友人を大切に思う“想いの強さ”故の切なさがあって、読み応え抜群の濃密な漫画だった。これが平庫ワカさんのデビュー作なんて…、才能は年齢や経験を選ばないものである。
 それが映画化された。監督がタナダユキさん! 中テレ製作のテレビドラマと映画による連作『浜の朝日の嘘つきどもと』でも監督を務め、私も(弊社製作だから、というのではなく)テレビから映画、映画からテレビとリピートしたくらい、面白くて温かみがあって泣いて笑っての作品だった(円盤買ったくらいです)。映画『四十九日のレシピ』も、心にじんわり来る映画だったっけ。
 人間の心の機微を温かく描くのが巧い監督なので、でも原作もかなりしっかりしているので、どのような実写版になるのか興味津々だった。

 いやぁ、原作を読んだ人間としては、大満足の作品だった。基本、原作に忠実に作られている(手を加えるべきところが少ない、完成度が高い原作だからだ)。そして間が良い。じっくり、ストーリー展開を慌てず、見せるところを見せてくれる。

 「シィちゃん」ことシイノトモヨは、ブラック企業に勤めるサラリーマン。或る日、親友の「マリコ」ことイカガワマリコに起きた出来事を知る。親友に起きたその出来事が信じられず、自分に何も言わずにその出来事を起こした事に失望し、シィちゃんはマリコの家に乗り込み、マリコと最初で最後の旅に出る。だがその旅先でも信じられない、シィちゃんを絶望させる“事件”が起き、時間が経過すればするほど親友マリコの記憶が薄れていく事に苛立っていく。一方でいろんな事に裏切られ、傷つくシィちゃんの事を、距離感を保ちながら見守る男性…、しかしその男性も嘗て心に深手を負っていた。
 自暴自棄になるシィちゃんに、マリコを思い出させるもう一つの“事件”が起き…、というストーリー。

 作品に描かれるシィちゃんは感情むき出しの、恥も外聞もない、そうしなくてはいられなくて全身であがいてもがく女性なのだが、永野芽郁さん、よくここまで演じているなぁ。旅に出る前にどうしようもなく感情がこみ上げる場面、もう見ているこちらも我慢できず一緒に泣いた(今度は映画『母性』で、ドラマ『ハコヅメ』で共演した戸田恵梨香さんと母子役で再共演するんですよね。これも観なくちゃ)。
 そして親友のマリコ…奈緒さん凄いです。原作をお持ちの方は41ページだったかのマリコをご覧ください。奈緒さんそっくり! その奈緒さんが、心が壊れちゃったマリコを、ちょっとやばいマリコを、そして自分でも自分に起きる理不尽に説明が付かず「そう思わないと割に合わない」と自分を追い詰めるマリコを演じ、時に無機質で時にシィちゃんの前だからの笑顔を、それはそれは自然に浮かべて見せてくれる(映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の、自分の心を表に全く出さずに笑顔を見せる女性・永作博美さんを思い出したよ。こっちも凄いよ~~(きのう始まったドラマ『ファーストペンギン』の奈緒さんは、シィちゃんに近い? アジを食べた時の笑顔溢れる幸せを、マリコにも味わわせたかったよ~←役柄と中の人がごっちゃになってる)。
 そして観ていてぶっ飛んだのは、シィちゃんとマリコの中学時代を演じた佐々木告さん・横山芽生さんの2人!! 巧い!凄い!! 永野さん・奈緒さん演じる2人と、熱量・技量が同じ!!! 特にシィちゃんを演じた佐々木さん、絶叫も煙草を吸う姿も、シィちゃんだよ…。震えたなぁ。
休みに小名浜まで自宅から下道で2時間弱…。2本観て来た。
休みに小名浜まで自宅から下道で2時間弱…。2本観て来た。
 映画には、漫画には無い場面も幾つか加えられている。個人的には、旅先からシィちゃんが戻る場面、リアルで好いなぁ。ずれるかも知れないが、石坂浩二版金田一耕助が、事件解決後に探偵料を貰うみたいな…、ずれているか。でもシィちゃんの生きていく事への意欲を感じる、原作には無い素敵な場面だ。

 パンフレットは1冊1000円。これは“買い”である。
 マリコの手紙の一部が見られるし、あの手紙を書いたのは…。
 また裏話も豊富。役作りの凄さ(尾美としのりさん、そこまでしたんですか?)、タナダユキ監督の熱意、出演者も含めた原作と映画へののめり込みようが伝わる。
 しかも『浜の朝日の嘘つきどもと』を作っていく時と、映画『マイ・ブロークン・マリコ』の時期も、小道具も、名前も重なったりして…。
 そうそう、『浜の…』と言えば、このドラマ版をご覧になった方は必見、パンフレットにはあの“駄作”のポスターまで!? いやぁ、遊び心もファンには嬉しい。
 白抜きのページを読むと、もう1回映画をリピートしたくなる(原作を読んだ人は、もしかしたら白抜きのページは上映前に読んでも良いかも!?…責任は取りませんが)。
 これで冒頭に原作の1ページまるごと、最後に映画の脚本もついているんだから、映画を楽しめた人は買わない手はない(ツイッターを見ていると、福島県外の一部上映館では売り切れらしい)。

 映画『マイ・ブロークン・マリコ』は、県内ではポレポレシネマズいわき小名浜のみの上映。
 朝のテレビ小説『エール』で古関裕而をモデルにした役を演じた窪田正孝さんは、シィちゃんが旅先で会う男性マキオの役。佇まいと台詞が染みたなぁ…。映画『ある男』も、観なきゃかな。

※尚、『マイ・ブロークン・マリコ』には児童虐待の内容が含まれています。
こちらがパンフレット(蛍光灯の明かりが入って、済みません)。
こちらがパンフレット(B6サイズ。蛍光灯の明かりが入って、済みません)。
全文を読む
コメントを投稿してよろしいですか?
利用規約

中テレ会員サービス(以下「本サービス」)は、株式会社福島中央テレビ(以下「当社」)が提供する、ホームページ、各種ネットサービスを対象とします。
ユーザーは本規約の内容をよくご確認頂いた上で、本サービスをご利用ください。
当社は、ユーザーが本サービスをご利用されることにより本規約の内容を承諾したものとみなし、以後ユーザーと当社との間にて本規約が適用されるものとします。

1.    本サービスのご利用にあたって
本サービスへの登録は無料で行えますが、ユーザーの端末機からのアクセス、メッセージなどの受信に必要な通信費はユーザー自身の負担となる他、一部コンテンツは有料でご利用いただくものになります。ユーザーが本サービスの利用に際して行った一切の行為、その結果および当該行為によって被った損害について、当社は何等の責任も負わないものとします。

2.    個人情報の取り扱いについて
ユーザー情報は、当社からのサービス提供または利用者のサービス向上を図るための資料(個人が特定されない統計資料)等、当社の正当な業務遂行上必要な範囲に限定して利用し、その範囲を超えた個人情報の取扱い(目的外利用)を行いません。ユーザー情報自体の取り扱いについては、別途当社が定める「個人情報保護基本方針」に従い、適切に扱います。

3.アカウントの管理について
ユーザーは、本サービスのログインパスワード等の会員アカウント情報について、自己の責任において管理及び保管するものとし、第三者に開示あるいは貸与、譲渡、売買等をしてはならないものとします。アカウントの管理不十分または第三者の使用等によりユーザーに損害が生じた場合、その責任は故意・過失の有無にかかわらずユーザーが負うものとし、当社は一切その責任を負いません。

4.登録の変更・退会について
ユーザーは、登録情報に変更が生じた場合や、退会を希望する場合、当社が指定する所定の方法によって登録情報を変更または退会の手続きを行うことができます。

5.未成年による利用について
未成年者のユーザーは、本サービスの利用の一切につき、親権者等の法定代理人の同意のもと利用しなければなりません。未成年者のユーザーが、法定代理人の同意がないにもかかわらず同意があると偽り、または年齢について成年と偽って本サービスを使用した場合、その他行為能力者であることを信じさせるための詐術を用いた場合、本サービスに関する一切の法律行為を取り消すことはできません。本規約の同意時に未成年であったユーザーが成年に達した後に本サービスを利用した場合、当社は、当該ユーザーが本サービスに関する一切の法律行為を追認したものとみなします。

6.知的財産権について
本サービスに関する一切の特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権等の知的財産権(それらの権利を取得し、またはそれらの権利につき登録等を出願する権利を含みます。以下「知的財産権」)は全て当社または当該権利を有する第三者に帰属します。ユーザーは、本サービスを利用するにあたって、一切の権利を取得することはないものとし、当社は、ユーザーに対し、本サービスに関する知的財産権について、本サービスを本規約に従ってユーザーの端末機においてのみ使用できる譲渡不能の権利として許諾するものです。したがって、ユーザーは個人で楽しむ目的(著作権法第30条第1項の範囲での私的使用)でのみ本サービスを利用できます。また、ユーザーは本サービスについて当社から提供された状態でのみ利用するものとし、本サービスに関する情報の全部または一部を、当社の了解を得ずに、複製、改変、貸与、配布等により転用してはなりません。

7.ユーザーによる情報の提供やアップロードについて
ユーザーは、本サービスの利用にあたってアップロードする文章、画像、動画、音声、音楽その他の情報(以下総称して「ユーザーコンテンツ」)について、その行為における適法な権利を有していること、及びユーザーコンテンツが第三者の知的財産権、所有権その他の権利を侵害していないことについて、当社に対し表明し、保証するものとします。ユーザーコンテンツに関する著作権は、当該投稿等を行ったユーザー自身に留保されるものとし、事前に著作権譲渡について当社がユーザーから許諾または同意を得たものを除き、当社は当該ユーザーコンテンツに関する著作権を取得することはありません。ただし、当社は、本サービスの提供、維持、改善またはプロモーション等に必要な範囲において、ユーザーコンテンツを複製、翻案、自動公衆送信などを、無償、無期限かつ地域非限定で行うことができるものとします。ユーザーは、当社及び当社から権利を承継または許諾された物に対し、著作者人格権を行使しないものとします。

8.禁止行為について
ユーザーは、本規約の他の条項に定めるものの他、本サービスの利用にあたって、以下の行為またはそのおそれのある行為を行ってはならないものとします。
(1)他のユーザー、当社または第三者に不利益または損害を与える行為
(2)公序良俗に反する行為
(3)法令に違反する行為
(4)当社の書面による事前の承認を得ずに、本サービスに関連して営利を追求する行為
(5)当社による本サービスの運営を妨害する行為
(6)本サービスの信用を失墜、毀損させる行為
(7)当社の承認した以外の方法で本サービスを利用する行為
(8)本サービスを譲渡、貸与、公衆送信、使用許諾する行為
(9)本サービスを複製、翻案、編集、改変する行為
(10)コンピュータウイルス等を本サービスで利用し使用をしたり、第三者に提供したりする行為、あるいはそのおそれのある行為
(11)その他、当社が不適切と判断する行為 

9.免責事項について
当社は、本サービスに関する情報およびデータの正常性、信頼性、正確性を保証するものではありません。本サービスにかかる情報によりユーザーまたは第三者に損害が生じた場合であっても、その損害についていかなる責任も負いません。また、当社は、本サービスの利用に起因するソフトウェア、ハードウェア上の事故、ユーザー間またはユーザーと第三者の間において生じたトラブル、その他の事故等による全ての損害についても、いかなる責任も負いません。

10.損害賠償について
本規約に違反して権利侵害等の問題が発生した場合、ユーザーは、自己の負担と責任においてかかる問題を解決するとともに、当社に何等の迷惑または損害を与えないものとし、仮に当社に損害を与えたときは、当社に対して当該損害の全てを賠償していただきます。

11.当社による本サービスの提供中止について
当社は、ユーザーが本規約に違反した場合、当該ユーザーに対してあらかじめ通知することなく、本サービスの全部または一部の内容の提供を中止することができるものとします。当該中止についてユーザーに損害が生じた場合であっても、当社はいかなる責任も負いません。

12.本サービスの変更・一時中断・廃止について
当社は、本サービスの内容を必要に応じて変更することがあります。また、メンテナンスや内容更新のため本サービスの提供を一時中断、あるいは本サービスの廃止を行う場合があります。当該変更または一時中断、廃止によってユーザーまたは第三者に損害が生じた場合であっても、当社はいかなる責任も負いません。

13.本規約の改訂
当社は、随時本規約を改訂できるものとします。当社は本規約を改訂した場合、その都度、改定後の本規約を掲示することによってユーザーに告知するものとし、改定後の本規約は当該掲示の時点で効力を生じるものとします。

14.準拠法、協議、管轄
本規約の解釈および運用は日本法に準拠します。 本サービスに関連してユーザー、当社ないし第三者との間で疑義、問題が生じた場合、その都度誠意をもって協議し、解決を図るものとします。 協議によっても疑義、問題が解決しない場合、これらに関する紛争は当社の本社所在地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所を第1審の専属的合意管轄裁判所とします。
 
附則
本規約は2022年9月30日から実施します。